「お言葉に甘えます。すいません。」
「足、揉んでください」とか。

たった2、3ｍの距離だけど、
「豚汁、そっちまで持っていこうか？」

普段だったら、

「大丈夫です。取り行きます。
ありがとうございます。」

なんて話なんだけど、


寝っころがったまま、
「すいません、お願いします。」

って。(笑)

ホント、そうですよねー！

人の感謝に対する気持ちっていうか、

感謝に対するアンテナが、
敏感になるんですね。

そういう極限状態の中でね。

それっていうのは、

あの極限が終わって、
日常生活に戻ります。

じゃあ、
戻っちゃうのか？
っていうと、

そうでもない。


すこーし、
そのエッセンスが、
体の中に残ってるっていうか。

おっしゃる通りよね。

参加する前よりも、
ちょっと受け取る事が、
できたりなんかして。

相手も、良かれと思って、
してくれてることだから、

せっかくだったら、
もらっちゃおうかな、その気持ち。

お互い、ハッピーになれたらいいな。
ということが、

参加する前よりも、
ちょっと上手になったかなって。


で、50キロ、
行っても、行っても、
仲間には、追いつかない。

そう、追いつかないし・・・

サポート地点来ると、
「ありがたいな」
って感じになるけど、

歩き出すと、

つらい、疲れたで、

ずーっと、
止める理由を考えて、

ずっと歩くんですよ。

その間ずっと、
苦痛を感じながら、

次のチェックポイントで、
必ず、リタイアすると。

止めると。


理由は、

足が痛くて、
もう、動けないとか、

そういう理由を、
考えながら歩いたんだけど、


70キロ行って、
そこでも、「リタイアする。」と言えずに、
70キロも超えてたんですよ。



80キロ行った時にですね、

自分の気持ちが、



変わったんですね。



80キロまで行った時は、

ホントにもう、
体力の限界で、

時間も、
残り、後6時間とかしかなくて、

どう考えても、
残り20キロ。

この時間では歩けるわけない。

って、
頭で計算しちゃったんですね。


それでもう、

リタイア、
絶対するっていう思いで、

80キロ地点入ったらですね、

また例によって、
サポートの方がいて、

年配の方で、
ちょうど、栗ちゃんぐらいの、
ガタイのゴッつい方が、

「おい、ここ座れ。」
って言われて、


黙々と、
マッサージしてくれるんですよ。

ボクは心の中で、

「リタイアします。」
「リタイアします。」

って言おうと思ったら、

その年配の方が、

「お前、ここでリタイアしたら、
ダメだからな。」

「リタイアすんなよ！」

ってね、
先に釘さされたんですよ。


「いや、でも、もう限界なんです。」

ってボク答えて、

「もう、時間もないし、
もう、足も、これ以上、歩けません。」

って言ったら、

「いや、大丈夫！
足揉んだけどね、マメもできてないし、
筋肉も柔らかいから、まだ歩けるぞ！」

「いや、でも、時間がもう足りないです。」

って言ったら、

「いや、ペースを上げればね、
まだまだ、間に合うから、何とかね、
とにかくがんばれ！」

って言われて、


その後、
彼が、言ったのは、

とにかく、
ここでリタイアしたら、

来年、またね、
同じ苦しい思いをしないといけないから、

「とにかく、まだまだ、
お前は、歩ききれるから、歩け！がんばれ！」

って言われたの。

「オレも応援してるから。」

って言われた時に、



涙がぽろぽろ出てきてね、

「分かりました。ありがとうございます。」

って、

ホントにこの言葉が、
励まされたのと、

あー、歩けるんだ、自分は。

すごい勇気を与えてもらった。


それからですね、

自分が、

「分かりました！」

と答えた瞬間、


自分のカラの中、何かが変わったのね。

それまでは、
ずっと、
もう、リタイアすることしか、
考えてなくて、

歩いてる間中、
リタイアする言い訳を、
考えてたのが、

つらかったんですよ。

ところが、
そっから、80キロから100キロまでは、

どうやったら、歩ききれるか？

っていう、

歩くイメージが、

そこで初めて、ボクはできて。

もう、自分の枠組みが、
焦点ていうか、

もう、変わっちゃった。

180度、変わったんですね。