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06/12/21
11.これが表現だ!
神田京子プロフィール

ブログ「京子喫茶室」

京子ちゃん
たまたま、神保町歩くのがそのころ大好きで、
本をジャケ買いしてたんですよ。
もう題名だけで買ってました。

明日の…明日への街角とか…題名だけでね。
北方謙三とか。
もう北方謙三が何かもわからないで、
ハードボイルドとか…。
北斗の拳とか、ハードな男になりたい
…みたいな、その頃。
栗ちゃん
ハードな香りのするものを…
京子ちゃん
そう。
でも一方でカバンには恋愛ドラマみたいな、
原作読んだりとか。
野沢…ね、しょうでしたっけ?なお?
栗ちゃん
尚(ひさし)。
京子ちゃん
ははは。(笑)

それを…読んだりとか、
交互に読んだりとかして。

濃いのも読みましたね。
坂口安吾読んだ後は、もっと軽いもん読もうとか、
トルストイ読んで、
その後は明るいもん読もうとか、
交互に交互に、読んでたんですよ。
栗ちゃん
へえぇぇぇーーーっ。
京子ちゃん
そのうちに人間を扱ってるもの、
ジャンルを越えて目に入ったもん
みんな読みたくなっちゃった。

好きな水泳の方法論とか、スポーツ論とかまでね。
スポーツ論ってあついんですよ。
ある一定の時期まではつらいんだけども、
ハハハ、技術ある一定のところまで来ると、
それと一体化することがあるってなったときに
うんわかるわかる、みたいなとか…。

全部繋がったわけですよ、
何かわかんないけど、何か理論が。
世の中にある現象ってのが
全部繋がるような気がした。

そんな中で、その頃が丁度3年生の冬…
春にかけてです。
栗ちゃん
ようやく繋がってきましたけど……
就職のことに繋がってきましたけど。(笑)
京子ちゃん
そう、就職のことに繋がってく時期に
入るわけですけど、
みんな日芸の放送目指す子は、
あの~、アナウンサー目指すんですよね。

みんなアナウンサー目指すんだけど、
「私、アナウンサー目指してます」
って言うとミーハーみたいでカッコ悪いから、
わりと隠しながら
アナウンサー試験受けたりするんだけど、
でもそんなに簡単に受かるわけないんです。

そんな中で、みんな就職で悩んでるときに、
ちょっと就職で悩んでる時間もったいないな、
って思ったんです、自分がね。

私は『喋り』がやりたいんだから、
悩んだところで『喋り』がやりたいのは
変わらないんだから~
よし、前に動こうと!
栗ちゃん
うん。
京子ちゃん
他の職業受けるなんて、意味ないなと思って。
栗ちゃん
ええ。
京子ちゃん
それで私、就職なんてやめよう…
で、旅に出たんです。
で、ふふふっ…
栗ちゃん
旅に出ましたよ~
京子ちゃん
そう、3月29日が誕生日なんですけど、
22歳になったときに、
22歳を旅から始めようと思って、
携帯電話と時計と、
すべて自分を縛るものを全部東京に置いて、
ほいでリュックサック一個で、青春18切符買って。

で、ずーっと旅したんですよ、
二週間ぐらいですけど…。
九州の方にね、寒いから九州の方に行きました。
南の行けば、温かいかなと思って。

そうすると、大抵時計も持ってないし、
ケータイも持ってないから、
人に「今、何時ですか?」って聞くこととか、
「ここの駅に行きたいんですけど、
それにはどうしたらいいんですか?」って
聞くことから、
人とのコミュニケーションを始めていました。

で、その方法で人と喋るようになったんですね、
土地の人と。
でも向こうの人にとっては、平日の昼間にね、
しかも、まだ春休みになったか、なってないか、
ああ、なってるか、一応、なってるけれども、
そんな時期に女が1人で東京から
わざわざ来てるんだから
見た目でもうすでにこの娘、何かあるなって。
ブサイクだしさ、ね、ホントにそのとき。(笑)
栗ちゃん
ブサイク期だからね。(笑)



京子ちゃん
もうね、化粧もやんないで、
眉毛も描いたりせずに…
栗ちゃん
何か漂っちゃってるんだ。
京子ちゃん
ホントに素で行ってるわけですよ。
で、何かしら、何か一人旅で、
時間も空いてるんなら、ここ行ってみたらどう?
とかね、結構感動的な場所を
教えてくれたりとか、するんですよね、
人が何か、みんなそういう
教えてくれたりとかして。

で、行って、ある時ね、四国に行ったときに、
ユースホテルがお寺だったんですけど、
お寺に行く前、駅の目の前に、
お菓子やさんがあって、
コンビニは、その…無いような、
田舎~なんで、そのお菓子屋さんが
野菜も売ってれば、米も売ってれば…
栗ちゃん
はあぁぁ、よろず屋さん?
京子ちゃん
よろず屋さんっていうんですね?
そこに着いたのが夜の7時ぐらいだったんだけど、
そこのオヤジが
「何だ、おめ~一人旅か?」てな感じで
「そうなんです~」って。
「彼氏に振られたのか?」みたいな…、
すごい~、うーん何でわかるんだろみたいな。

……で、
「いいんだよ、おめぇ夢と希望さえあればな!」
って言われて。
「オレだって昔、自衛隊だったけど、
いつも星見て過ごしてたわけだからさ」
栗ちゃん
おっ……
京子ちゃん
何かね、そういう、「甘酒でも飲むか」ってね、
甘酒をストーブの上でさ、
沸かしたりなんかしてね、
お話を聞いてくれたんです。
そしたらそこの孫がね、孫と思われる女の子が、
ミニスカートで、
ブルマがお尻から見えちゃうみたいな…
栗ちゃん
ワカメちゃん?
京子ちゃん
そう、そのワカメちゃんが
「ちょっと見て~、私、こんなことが
できるようになったの~」
って、いきなり奥から出てきて
店先で逆立ちしたり倒立ブリッジしたり、
すごい自慢してくるの。

今、自分にできる最大限のサービスを
見ず知らずの私にしてくれちゃって、
それに私感動しちゃって…。

何てスゴイんだこの子は!って。

私みたいなどっから来たかわかんないような
元気のない姉ちゃんを楽しませようとしている。
逆立ちしてる姿とか、ものすごい愛おしくて。
これが表現だ!って思いました。

そのおじちゃんが何気なく言ってくれることも、
その時の自分じゃなければ
感じれらないことだから本当に心に沁みました。

人にはいろんな状態がある。
そん中で言葉って届くんだみたいな、
それも含めて…
やっぱり私、表現したい!って思いました。
栗ちゃん
へええぇぇぇーーーっ。



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